2010年6月8日火曜日

私はあなたの味方




「私はあなたの味方だよ」
ドラマの中で俳優がこう言った。

げ。またかよ。きもちわりいなあ。やまんばはあの言葉にムシズが走るのだ。あの言葉は、最近になってよく耳にする。味方と言うということは、敵にもなりうるということだ。主人公は相手に味方だと言いつつも、複雑な立場にある。だからあえてそう言う言葉を発することによって自分をいい人であろうと演じているフシがあるように見えるのは、ひねくれたやまんばの性格か?

これににたような言葉で「君を信じているから」というのもある。一見人を信じるいい人のように見える。しかしいちいち言うあたりが怪しい。
アメリカでよくこの言葉を聞いた。
「I can believe you(僕は君を信じられる)」
一番最初これを言われたとき、
「はあ~~?」とおもった。
君らは信用に値する人間だ。だから色々はなせる。と言う。なんて冷たい人間関係の中で彼等は生きているんだろうと思った。わざわざそんなことを言わなければいけないほどに人を信用できない世界なのだ。これが日本なら、そんなことをいちいちその人に向かって言うこと自体が相手に失礼だろう、とおもった。

ところが日本に帰って来て、いきなりその言葉を言われた時には、のけぞりそうになった。「君らは信用できる」と。
わしら夫婦が日本を離れていた7年半の間に、いったい日本に何が起こっていたのだろう。わしらは頭を抱えてしまった。あんなに日本の良さを感じ入ってかえって来たこの国に、いったいなにが。。。

KYもそうだ。空気読まない人ということらしい。その場の空気を読まない人はイケナイ人なのだそうだ。だからみな空気を読む。でもやまんばの眼から見ると、空気読みすぎて逆に関係がぎくしゃくしているように見える。お互いがお互いをその場の空気から脱線しないように見はっている。一見、人当たりのいいやさしい感じに見えるが、誰かが空気乱すんじゃないか、又は自分が空気乱してしまうんじゃないかと、戦々恐々している。「君を信じているから」とか「味方だから」とかいうのは、その場を穏やかにつくろう意味もあるのか。
この「。。。から」というのも増えた。その「。。から」のあとにつづくのは「信じているから、裏切らないでよ」とか「味方なんだから、へんなことするなよ」などの条件付きの信用であり、味方なのだ。いえば一種の脅し文句がびにょ〜に入り込んでいる。(そーゆーのはやまんばの世界では「味方」とは言わない)
そんなトーンを感じるからやまんばは聞くたびに、いや〜な気分になるのだ。

自由や平等は西洋から入って来た考えだ。それだけ聞けばすなおに「アメリカはいいなあ、自由と平等の国なんだ〜」と思う。しかし住んでみればまったくの逆。日本の方がよっぽど自由で平等だったとわしは感じている。情報がくれた色眼鏡で見るのではなく、曇りなき目でみなきゃ。イメージと言うフィルターを通して見るから分らなくなるのだよ、ワトソン君。
そのとき私は自由とか平等か言う言葉は、そこにないものだからあえて訴えているんだな、ということを知った。
本で読んだことがある。ある島には「幸せ」という言葉がない。それはまるで住みづらい不幸な島のようにみえるが、まったく違う。「私は幸せ」とわざわざ口にしないほどに、幸せに満ちた場所だったのだ。だからあえてその言葉を発する必要はなかったということだ。意識にも登らないのだ。

だから味方という言葉は、いつでもどこでもすぐにコロッと敵に変わっちゃう可能性がおおいにあるということじゃないだろうか。信じているという言葉も、ほんとは「あんたなんか信じていない」ことを意味しないだろうか。だからあえて口にするのだ。そして後ろから脅迫する(!)

どうも最近は二元論がおおいにはびこっている。
いいこと、悪いこと、損する、得する、敵、味方、信じる、信じない、デキル、デキナイ、効率的、不効率的、透明、不透明、勝ち組、負け組、開いている、閉じている。。。どうも言葉というものは一度市民権を持ってしまうと、一人歩きをする。人は意識もしないうちにそれにとらわれてしまうようだ。

そんな出来合いの言葉で、無意識のうちにあらゆるものや自分や他人をはかってやしないか?それが勝手に基準になって、その物差しでもって相手をジャッジしているのだ。そんな物差しは時代が変われば一息で吹き飛んでしまうものなのに。エコもそうだ。エコなんてそのうち消えてしまうど。なのにエコしない人をケーベツしたりするだろ。そんな伸びたり縮んだりするいーかげんな物差しで、さも大事そうに自分や他人をはかって何が楽しい。二元論は人をジャッジするばかりだ。そんなもの捨ててしまえー。

なんか、こう、最近の日本人はちびちび、めそめそ、うじうじ、ぴりぴり、イライラ、びくびくしているのが、なんだかおもしろくないのだ。そんな空気蹴散らしてくれる!

やまんばは誰の味方でもないし、敵でもない。信用するもしないもない。ついでに空気なんて読んでやらないのだー!(やまんばKY宣言)


絵:カットイラスト/さくら

2 件のコメント:

まいうぅーぱぱ さんのコメント...

なんだか、こわいなぁ・・・。
私ら、変な事言って無いでしょうねぇ・・。
気になって眠れなくなっちゃいます。
んで、また飲んじゃう。と・・。

つくし さんのコメント...

え〜?
ナンにも言ってないですよお。

ま、気になっちゃうかんじを理由に、また飲んじゃうわけね。うまい!