2010年3月29日月曜日

イラストレーターは物質主義者




「チューゴクでよー、空飛ぶ岩が写真に写ってたどー」
と、酔った勢いでダンナにいうと、
「おめえ、物質主義者だな」といわれた。
悪いか、物質主義者で。
だいたいだなあ、絵描きは物質主義者でないと、描けないのだ。非物質主義者だと、なんだか描いている対象がぼんや〜となるではないか。
それにイラストレーターが何描いているのかわからんと、クライアントに怒られるのだ。
「つくしさん、これは何ですか?」と言われて、ギャラもらえないのだ。みんながこれは何かはっきりわかるものでないと、広告にならないのだ。
と、いうことは、イラストレーターは芸術家ではないということか。だって、誰が見てもわかるものはどこかで誰かが見ているもので、それはすでに新しいものではないのだ。

それに比べて芸術家は常に誰も知らない新しい世界を追求している。だから、それを最初に提示すると、
「こっ、、、、これは、一体なんですか、、、?」
と、言わせねばならないのだ。そしてじーっと見つめた人は、う〜ん、なるほど。。。とうならなければいけない。それがゲージツだ。
(なのにダンナはゲージツ家のくせに、わかられないと悲しがる)

だけどたまに、この物質主義者の私でも、この世に見えないものも描きたくなるのだ。例えば天狗。
「こっ、こんなものをこの世に現してしまっていーのだろうか。。」
と、描いてる自分がドキドキする。
たとえばキリストさまを一番最初に描いた人はきっとドキドキしたに違いない。神を冒涜するのではないかと。神と言う「形」を作ってしまっていいのかと。お釈迦様だって後々描かれたのだ。人はそのシンボルをいつの間にか崇拝するようになるではないか。
私が描いた天狗さまも後々崇拝されてしまうかもしれないではないか(ないよ)。

つまり目に見えるものはそれだけ人を圧倒してしまうのだ。そしてそれはある種の枠の中に閉じ込めることになる。そういう意味では絵を描くとは、恐ろしい商売である。

絵:「モンスター列伝」五島慶太

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